この記事を書いたのは
医学博士、日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、日本生殖医学会認定 生殖医療専門医・指導医、母体保護法指定医、検診マンモグラフィ読影認定医師、乳がん検診超音波検査実施・判定医師
はじめに
体外受精の費用は「1回○円」と単純には示せません。卵巣刺激に使う薬、採卵できた卵子数、通常体外受精か顕微授精か、培養する胚数、凍結数、新鮮胚移植か凍結胚移植かなどによって変わるためです。
また、「体外受精1回」が採卵までを指すのか、胚移植・妊娠判定までを含むのかによっても金額が異なります。費用を確認するときは、採卵周期と胚移植周期を分け、どこまで含む金額かを見ることが大切です。
体外受精で費用が発生する段階
| 段階 | 主な費用 |
|---|---|
| 治療前 | 初再診、血液検査、超音波、感染症検査、精液検査など |
| 卵巣刺激 | 内服薬、注射、自己注射指導、超音波・ホルモン検査 |
| 採卵 | 採卵基本料、採卵個数加算、麻酔 |
| 受精 | 通常体外受精または顕微授精、精子調整 |
| 培養 | 胚培養、胚盤胞培養、必要に応じた追加技術 |
| 凍結 | 胚凍結、凍結保存管理 |
| 胚移植 | 新鮮胚移植または凍結融解胚移植、薬剤、検査 |
| 移植後 | 黄体補充、妊娠判定、超音波など |
採卵しても卵子が得られない、成熟卵がない、受精しない、移植できる胚が得られないことがあります。その場合でも、実施済みの診察・薬剤・採卵などの費用は発生します。
東京ウィメンズクリニックの保険診療費用
以下は2026年9月13日時点の公式料金表に掲載された、保険診療・自己負担3割の主な金額です。
採卵
| 項目 | 掲載料金 |
|---|---|
| 生殖補助医療管理料 | 900円 |
| 採卵基本料 | 9,600円 |
| 採卵数1個の加算 | 7,200円 |
| 採卵数2〜5個の加算 | 10,800円 |
| 採卵数6〜9個の加算 | 16,500円 |
| 採卵数10個以上の加算 | 21,600円 |
麻酔では薬剤料金に加え、保険外併用療養費として選定療養費が発生する場合があります。公式料金表では、無麻酔11,000円、局所麻酔22,000円、静脈麻酔33,000円と案内されています。適用条件と総額は事前に確認してください。
受精・培養・凍結
| 項目 | 掲載料金 |
|---|---|
| 通常体外受精基本料 | 9,600円 |
| 顕微授精・1個 | 11,400円 |
| 顕微授精・2〜5個 | 17,400円 |
| 顕微授精・6〜9個 | 27,000円 |
| 顕微授精・10個以上 | 35,400円 |
| 受精卵・胚培養・1個 | 13,500円 |
| 受精卵・胚培養・2〜5個 | 18,000円 |
| 受精卵・胚培養・6〜9個 | 25,200円 |
| 受精卵・胚培養・10個以上 | 31,500円 |
| 胚盤胞培養加算 | 4,500〜9,000円 |
| 凍結保存管理料 | 15,000〜39,000円 |
個数に応じて金額が変わります。実際には薬剤、超音波、ホルモン検査なども加わります。
胚移植
| 項目 | 掲載料金 |
|---|---|
| 新鮮胚移植 | 22,500円 |
| 凍結融解胚移植 | 36,000円 |
| アシステッドハッチング | 3,000円 |
| 高濃度ヒアルロン酸含有培養液 | 3,000円 |
ここでも、移植周期の薬剤、超音波、ホルモン検査、再診などが別途必要になることがあります。
自費診療のモデルケース
東京ウィメンズクリニックの公式料金表では、自費診療のモデルケースとして次の金額が掲載されています。
採卵・刺激周期
採卵3個、局所麻酔、顕微授精、タイムラプス、胚盤胞培養、全胚凍結、超音波・ホルモン検査・薬剤を含むモデルで、約504,000〜580,000円です。
凍結胚移植・ホルモン補充周期
SEET法、凍結融解胚移植、アシステッドハッチング、高濃度ヒアルロン酸含有培養液、超音波・ホルモン検査・薬剤を含むモデルで、約257,000〜280,000円です。
これはあくまで掲載された一例であり、すべての方に同じ治療や技術が必要なわけではありません。採卵数、薬剤量、追加技術、移植方法によって変わります。
体外受精が保険適用になる条件
2022年4月から、採卵・採精から胚移植までの基本的な生殖補助医療が保険適用となりました。窓口負担は原則3割です。
生殖補助医療の保険適用には、治療開始日時点で女性が43歳未満であることなどの条件があります。胚移植の回数上限は、初めて治療計画を作成した時点で女性が40歳未満なら1子につき6回、40歳以上43歳未満なら1子につき3回です。
年齢の判定日や回数の数え方、過去の治療歴によって扱いが変わることがあるため、医療機関で確認してください。
保険診療と先進医療は併用できる?
保険診療と通常の自費診療を自由に組み合わせる混合診療は原則として認められていません。一方、国が定めた先進医療の技術料は自己負担となりますが、保険診療部分と併用できます。
東京ウィメンズクリニックでは、タイムラプス、Zymot、IMSI、PICSI、ERA、EMMA/ALICE、SEET法など複数の先進医療を掲載しています。ただし、対象や有効性の考え方は技術ごとに異なり、希望すれば全員が受けるものではありません。
高額療養費制度
保険診療の自己負担額が1か月の上限を超えた場合、高額療養費制度の対象になる可能性があります。上限額は年齢と所得によって異なります。
対象になるのは保険診療部分であり、自費診療や先進医療の技術料、選定療養費などは原則として対象外です。月ごとの上限は1日から月末までの暦月単位で計算されるため、採卵と胚移植が別の月になると、それぞれの月で計算されます。さらに、2026年8月からは長期療養者等への配慮として年単位の上限も設けられています。上限額や適用方法は改定されることがあるため、最新情報を厚生労働省または加入する医療保険者へ確認してください。
見積もりで確認したい7項目
「一番安いケース」だけでなく、自分に想定される治療内容に近い見積もりを確認しましょう。
よくある質問
まとめ
体外受精の費用は、卵巣刺激、採卵、受精、培養、凍結、胚移植の各段階で発生し、採卵数や治療方法によって変わります。「体外受精1回」という表示だけでは、どこまで含まれるか分かりません。
保険適用の条件、高額療養費制度、先進医療の自己負担も含め、自分の治療計画に沿った総額と支払い時期を確認してください。
不妊治療や妊娠初期の経過には個人差があります。この記事の情報だけで治療の開始・中止、薬の変更、緊急性を自己判断せず、気になる症状や検査結果は担当医へご相談ください。
東京ウィメンズクリニックへ相談を検討している方へ
東京ウィメンズクリニックでは、保険診療と自費診療の料金表を公開しています。採卵数や受精方法などを踏まえ、治療開始前に費用の見通しをご確認ください。
参考文献・参考サイト
- こども家庭庁「不妊症・不育症へ向き合いやすく 保険診療の基礎知識」
https://funin-fuiku.cfa.go.jp/expert/17.html - 厚生労働省「不妊治療に係る診療報酬上の取扱いについて」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000913723.pdf - 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html - 東京ウィメンズクリニック「料金表」
https://www.tokyo-womens.clinic/prices/
最終閲覧日:2026年9月13日。制度・料金・診療内容は変更される場合があります。
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