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採卵術

1.採卵術とは

体外受精(IVF)において欠かせないステップのひとつが「採卵術(さいらんじゅつ)」です。
採卵とは、排卵前の成熟した卵子を体外に取り出す医療処置であり、受精卵を得るための重要な工程です。

採卵術とは

採卵術とは、経膣超音波ガイド下に細い針を用いて、卵巣内の卵胞から卵子を吸引・回収する医療行為のことです。
体外受精の第一歩であり、受精の成否を大きく左右する重要な処置です。

通常、排卵誘発剤を使って複数の卵胞を育て、排卵のタイミングを医師がコントロールして行います。
採取された卵子はただちに培養室へ運ばれ、顕微授精(ICSI)または通常の体外受精に使用されます。

この採卵の精度や安全性は、受精率・妊娠率に直結するため、熟練した技術と管理体制が求められます。

採卵で得られる卵子の数について

採卵で得られる卵子の数は個人差が大きく、年齢や卵巣機能、刺激法などによって異なります。
一般的には3〜15個程度が目安ですが、重要なのは「数」よりも質の良い成熟卵を得ることです。

良質な卵子を得るためには、過度な刺激を避け、体への負担を抑えながら自然なリズムに近い環境で採卵を行うことが大切です。
医療機関では、卵巣反応に応じて刺激法を個別に調整し、安全性と効率の両立を図っています。

採卵に伴うリスクと安全性

採卵は安全性の高い処置ですが、まれに以下のような合併症が起こることがあります。

  • 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
  • 出血や感染(穿刺による影響)
  • 麻酔の副作用


これらを防ぐため、医師は採卵前にホルモン値や卵巣の状態を細かくモニタリングし、刺激の強さや採卵タイミングを慎重に調整します。
ほとんどの場合は軽い症状でおさまり、安全に帰宅できるケースが大半です。

2. 採卵までのおもな流れ

採卵に向けて、まず排卵誘発(卵巣刺激)を行い、卵胞を十分に成長させます。
刺激法には「低刺激」「中刺激」「高刺激」などがあり、年齢・AMH値・卵巣機能などをもとに最適な方法を選びます。

卵胞が成熟した段階で、HCG注射またはGnRHアゴニスト注射を行い、約36時間後に採卵を実施します。

この「時間管理」が採卵成功の鍵であり、数時間のずれでも卵の成熟度に影響するため、非常に重要です。

採卵当日の流れ

来院・事前確認
体調チェック、同意書確認、点滴ルートの確保などを行います。

麻酔の実施
多くの場合は静脈麻酔を使用し、眠っている間に処置が終わります。
軽い鎮静法や局所麻酔で行う場合もあり、痛みは最小限に抑えられます。

採卵処置
経膣超音波プローブに装着した細い針で卵胞液を吸引し、卵子を回収します。
所要時間はおおむね10〜20分程度です。

回復・帰宅
処置後は1〜2時間安静にし、体調を確認してから帰宅します。
麻酔の影響が残るため、当日の車の運転は避けるようにしましょう。

卵時に使用される麻酔の種類

採卵は短時間で行われる処置ですが、痛みを最小限にするために麻酔を適切に使用します。
患者さんの体調や不安の程度に合わせ、以下の方法から選択されます。

静脈麻酔(全身的鎮静法)
もっとも一般的な方法で、点滴から麻酔薬を投与し、眠っている間に採卵を行います。
痛みや緊張を感じることなく処置を受けられ、採卵後は自然に目が覚めます。
数時間の休息で帰宅できる安全性の高い方法です。

局所麻酔
膣の周囲に局所麻酔を注入し、意識があるまま採卵を行う方法です。
処置時間が短い場合や、麻酔への抵抗感がある方に選ばれます。
軽度の違和感は残ることがありますが、回復が早いのが利点です。

鎮静法(軽い静脈鎮静)
完全に眠らず、うとうとした状態で採卵を行う方法です。痛みや不安を和らげながら、体への負担を最小限に抑えられます。

いずれの方法も安全性が高く、麻酔医または熟練した医師の管理下で行われます。
※過去に麻酔アレルギーや喘息、持病がある方は、必ず事前に申告しましょう。

採卵の痛みと体への負担

採卵中は麻酔が使用されるため、処置中に痛みを感じることはほとんどありません。

麻酔が切れたあとに軽い下腹部痛や張りを感じる場合がありますが、多くは1〜2日で自然におさまります。痛みは市販の鎮痛薬で対応できる程度が一般的です。

ただし、強い痛み・発熱・出血が続く場合や、腹部の腫れが急に増す場合は早めに医療機関へ連絡しましょう。

3.採卵と女性の体のケア

採卵の前後はホルモン変化や麻酔の影響により、体がデリケートな時期です。
体を整えることで回復を早め、次の治療ステップにも良い影響を与えます。

採卵前のケア(体を整える時期)

ホルモン治療中の生活
  • 十分な睡眠と規則正しい生活を心がける
  • 無理な運動は避ける(卵巣が腫れている時期は破裂リスクがあるため)
  • たんぱく質・鉄・ビタミンE・B群を意識した食事で卵巣機能をサポート
  • ストレスケア:深呼吸や軽い散歩で心を整える
  • 飲酒・喫煙は厳禁:卵子の質やホルモン反応に悪影響を与えます

採卵前日〜当日

  • 前日はしっかり睡眠をとる
  • 当日は絶食・絶飲(医師の指示に従う)
  • 下腹部を温め、体を冷やさない
  • 不安が強い場合は、付き添いをお願いすると安心です

採卵後のケア(体を回復させる時期)

採卵直後(当日〜翌日)
  • 安静第一:軽い出血・下腹部痛はよくある反応。1日は横になって休みましょう。
  • 水分をしっかり摂る:OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の予防に効果的です。
  • 体を温める:冷えは回復を遅らせます。
  • 入浴は控え、シャワーのみ:感染予防のため当日の湯船は避けましょう。
採卵後数日〜1週間
  • 卵巣が腫れているため、激しい運動・腹圧をかける動作は避けましょう。
  • お腹の張り・出血・体重増加(2kg以上/2日間)は要注意。
    すぐ受診を。
  • 鉄分・たんぱく質・ビタミンC・Eで体を回復。
  • 気持ちのケアも大切:ホルモン変化で気分が沈むことがあります。
    無理せず休みましょう。

採卵にかかる費用と保険適用

2022年4月より、体外受精・顕微授精などの特定不妊治療が保険適用となりました。
これにより、採卵術も一定の条件で保険が使えるようになっています。

保険適用の主な条件
  • 40歳未満:1子ごとに最大6回まで
  • 40〜43歳未満:最大3回まで
  • 婚姻または事実婚関係にあること
  • 医師が体外受精を医学的に必要と判断した場合
費用の目安
保険診療では3割負担で数万円前後です。
ただし、培養延長や先進医療(タイムラプス培養・アシステッドハッチングなど)を併用する場合は追加費用が発生します。

4.安心して採卵に臨むために

採卵術は、体外受精の成功を支える極めて重要なステップです。
保険適用により経済的負担は軽減されましたが、ホルモン変化や精神的ストレスに配慮したケアが欠かせません。

採卵前は体を整え、当日は無理をせず、採卵後はしっかり休む——

この3つを意識することで、より安全で穏やかな治療が可能になります。

不安や疑問がある場合は、どんな小さなことでも医療スタッフに相談してください。
安心して治療に臨める環境づくりが、未来の妊娠への第一歩となります。
東京ウィメンズクリニックについて
東京ウィメンズクリニックの医師とスタッフ

「妊娠しづらい」「月経が不安定」などのお悩みがあっても、早めに原因を明らかにすることで、適切な治療やサポートが可能です。原因が分かることは、希望へとつながります。気になる症状がある場合は、我慢せず、医療機関で検査を受けてみましょう。
当院では、一人ひとりの体と心に寄り添い、最適なサポートを行っています。どんな些細な不安でも、ぜひお気軽にご相談ください。

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