この記事を書いたのは
医学博士、日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、日本生殖医学会認定 生殖医療専門医・指導医、母体保護法指定医、検診マンモグラフィ読影認定医師、乳がん検診超音波検査実施・判定医師
はじめに
不妊治療の初診は、診察や検査だけでなく、これまでの妊活や月経、病歴を整理し、次に必要な検査を決める時間です。完璧に準備できていなくても受診できますが、保険資格が分かるもの、服薬情報、月経日、過去の検査結果をそろえると、重複検査を減らしやすくなります。
この記事のポイント
- ✓保険資格確認書類、服薬情報、紹介状・検査結果、月経記録を準備
- ✓月経周期、妊活期間、妊娠歴、手術歴、持病、生活習慣などを確認される
- ✓女性だけでなく、可能ならパートナーも早い段階で検査する
結論
初診の目的は、その日に治療法を決め切ることではなく、妊娠までのどこに確認が必要かを二人分整理することです。分からない項目は空欄でも構いません。質問したいことを3つ程度メモして受診すると、限られた診察時間を使いやすくなります。
初診の持ち物チェックリスト
初診では、保険資格の確認と、これまでの経過が分かる資料が中心になります。すべてそろわなくても受診できますが、手元にあるものは持参すると検査の重複を避けやすくなります。
必ず持参したいもの
- ✓保険証またはマイナ保険証など、保険資格が確認できるもの
- ✓本人確認書類
あると役立つもの
- ✓お薬手帳、または服用中の薬・サプリメントが分かるもの
- ✓紹介状(診療情報提供書)
- ✓他院での検査結果
- ✓健康診断の結果
過去に不妊治療を受けたことがある方
以下が分かる資料があると、これまでの反応をふまえて次の方針を検討しやすくなります。
- ✓刺激法(使用した薬剤と投与量)
- ✓採卵数・成熟卵数
- ✓受精方法(体外受精/顕微授精)
- ✓胚の発育状況
- ✓移植歴(回数・結果)
ご注意:婚姻関係等の確認書類や同意書の要否は、施設や治療内容によって異なります。ご予約時に受診予定の医療機関へご確認ください。
初診で聞かれやすいこと
初診の問診では、月経や妊活の状況、これまでの病歴などを幅広く確認します。責めるための質問ではなく、必要な検査を絞り込むための確認です。
女性側に確認されること
| 項目 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 月経について | 最終月経開始日、周期の長さと規則性 |
| 妊活の状況 | 避妊せず性交している期間、性交の頻度 |
| 妊娠歴 | 妊娠・流産・出産の有無とその経過 |
| 既往歴 | 婦人科疾患、手術歴、感染症、持病 |
| 生活・その他 | 家族歴、アレルギー、喫煙・飲酒、勤務状況 |
男性側に確認されること
- ✓既往歴・手術歴
- ✓服用中の薬
- ✓高熱が出た時期の有無
- ✓精巣の病気の有無
- ✓性機能に関すること
答えにくい項目は、その旨を伝えていただいて構いません。分からない項目が残っていても、検査を組み立てることはできます。
初診で行う可能性がある検査
問診と超音波検査に加えて、以下のような検査が候補になります。適した時期がある検査もあるため、初日にすべてが終わるとは限りません。
| 検査 | 主な目的 | 時期の目安 |
|---|---|---|
| 問診・超音波検査 | 子宮や卵巣の状態の確認 | 初診時に実施しやすい |
| ホルモン検査 | 排卵や内分泌の状態を評価 | 項目により適した時期がある |
| 卵巣予備能検査 | 卵巣の状態のおおよその目安を確認 | 時期を選びにくい |
| 感染症検査 | 治療を進めるうえで必要な確認 | 初診前後 |
| 卵管通過性検査 | 卵管が通っているかの確認 | 実施に適した時期がある |
| 精液検査(男性) | 精子の数・運動率・形態の確認 | 禁欲期間の指示に従う |
押さえておきたい考え方
男性側の基本検査は精液検査です。女性の検査だけを先に進めず、可能な範囲で並行して評価することが推奨されます。二人分の情報がそろうほど、必要な治療を早く絞り込みやすくなります。
服装と来院前の注意
内診の可能性を考え、着脱しやすい服装が便利です。スカートやゆとりのあるボトムスだと負担が少なくなります。
来院前に確認したいこと
- ✓検査によっては、食事・性交・採精からの禁欲期間について指示があります
- ✓処方薬は自己判断で中止せず、予約時の案内を確認してください
- ✓生理中でも問診や実施できる検査があります
出血していることだけを理由にご予約を取り消す前に、一度医療機関へご確認ください。月経期にこそ適している検査もあります。
パートナーと共有しておくこと
受診前に次の4点を話しておくと、治療方針の相談が進みやすくなります。
いつまでに子どもを希望するか
将来的に何人を希望するか
どこまでの検査・治療を考えているか
通院の負担と費用をどう分担するか
初診前に結論が一致している必要はありません。意見が違うこと自体も、診察の場でご相談いただけます。
初診で医師に聞きたい質問
限られた診察時間を活かすために、次の5点を確認しておくと今後の見通しを立てやすくなります。
今の状況で、まず受けるべき検査はどれか
結果がそろうまでにどのくらいかかるか
通院や検査で勤務調整が必要になる場面はあるか
治療ごとの費用と、保険適用の範囲
次はいつ、どのタイミングで受診するか
メモを取りながら聞き、分からない専門用語はその場で言い換えてもらうことが大切です。
受診・相談の前に整理しておきたいこと
診察では、結論だけでなく「いつから、どのように変化したか」という経過が重要です。最終月経開始日、普段の月経周期、妊活期間、過去の妊娠・流産・出産、手術や持病、現在の薬とサプリメント、これまでの検査・治療結果を、分かる範囲で時系列にまとめてください。パートナーの検査歴や既往歴も、治療方針を考える材料になります。
医師へ聞きたいことは、この4つに分けると整理しやすくなります
- ✓今回分かったこと
- ✓まだ分からないこと
- ✓次に行う検査・治療の目的
- ✓予定変更や受診が必要になる条件
仕事との両立が必要な方は、勤務時間、休みにくい曜日、出張や夜勤の有無も伝えてください。限られた診察時間であっても、判断に必要な情報を共有しやすくなります。
医療情報や治療成績を見るときの注意
妊娠率や流産率などの数字は、年齢、治療法、1周期当たり・採卵当たり・移植当たりなどの分母によって意味が変わります。他院やインターネット上の平均値を、そのまま自分の見通しとして受け取ることはできません。
検査値も一項目だけで結論を出さず、年齢、症状、超音波、精液所見、過去の反応などと合わせて評価します。
この記事は一般的な医療情報を整理したもので、個別の診断や治療指示に代わるものではありません。制度、検査法、薬、費用、診療体制は更新されることがあります。公開時と受診時には、担当医療機関の最新の説明をご確認ください。
よくある質問
まとめ
初診の目的は、その日に治療法を決め切ることではなく、妊娠までのどこに確認が必要かを二人分整理することです。分からない項目は空欄でも構いません。質問したいことを3つ程度メモして受診すると、限られた診察時間を使いやすくなります。
不妊治療や妊娠初期の経過には個人差があります。この記事の情報だけで治療の開始・中止、薬の変更、緊急性を自己判断せず、気になる症状や検査結果は担当医へご相談ください。
東京ウィメンズクリニックへ相談を検討している方へ
治療を始める時期や検査の進め方、仕事との両立について迷っている方は、初診時に現在の状況とご希望をお聞かせください。ご自身の年齢、月経、既往歴、パートナーの状況などを確認しながら、必要な検査や治療の選択肢を整理します。
参考文献・参考サイト
- 日本生殖医学会「不妊症の検査はどこで、どのように受けるのですか?」
https://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa07.html
主な使用箇所:女性・男性の基本的な不妊検査/最終閲覧日:2026年7月24日 - 日本生殖医学会「生殖医療Q&A 2025」
https://www.jsrm.or.jp/public/document/seishoku_qa_2025.pdf
主な使用箇所:不妊症の基礎、検査、男性因子、生殖補助医療/最終閲覧日:2026年7月24日 - ASRM「Fertility evaluation of infertile women: a committee opinion」
https://www.asrm.org/practice-guidance/practice-committee-documents/fertility-evaluation-of-infertile-women-a-committee-opinion-2021/
主な使用箇所:不妊評価の開始時期と基本検査、AMHの解釈/最終閲覧日:2026年7月24日 - NICE「Fertility problems: assessment and treatment(NG257)」
https://www.nice.org.uk/guidance/ng257
主な使用箇所:不妊の初期評価・専門医紹介の考え方/最終閲覧日:2026年7月24日 - こども家庭庁「不妊治療に関する取組」
https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/funin
主な使用箇所:日本の不妊治療制度と保険適用の概要/最終閲覧日:2026年7月24日
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